「そのビデオ、ただの思い出じゃないかも!?」
「うちに昔のビデオがあるけど、もう見られないし処分しようかと思ってるんです」

これは、私たちが日々相談を受ける中で最もよく耳にする声のひとつです。
8mmフィルム、VHS、カセットテープなど、かつて家庭で当たり前だったメディアは、
いまや再生できない“記録媒体”となりつつあります。
しかしそれらは、単なる思い出以上の価値を持つ「視聴覚資料」です。
過去の暮らしや文化、地域の記憶が生きている、かけがえのない”記録資産としての価値”を持っているのです。

えっ、“思い出”が“文化資産”になるの? どうしてそんなに大事なの?



実は、映像や音声には“その時代の暮らしぶり”や“感情の動き”が
たっぷり詰まっていて、未来に伝えるべき歴史の一部なんです!
文化庁やユネスコでも、映像・音声を含む記録の保存と活用を推進しており、
今や視聴覚資料は「文化資産」として保護すべき存在とされています。
本記事では、
- 「視聴覚資料とは何か」
- 「なぜそれが“記録”として特別なのか」
- 「なぜ今こそ保存すべきなのか」を、
一般家庭・自治体・アーカイブ関係者に向けてわかりやすく解説していきます。
視聴覚資料とは?─見る・聴くで伝える“もうひとつの記録”
視聴覚資料とは、文字や写真だけでは伝えきれない「動き」や「音声」を含む記録全般を指します。
代表的なものに、映画やテレビ番組、ホームビデオ、ラジオ、講演録音、地域イベントの映像などがあります。
国立国会図書館やユネスコなども、映像資料や音声資料を文化遺産として正式にアーカイブ(保存・記録)対象と位置付けています。
視聴覚資料の特徴
- 情報量の多さ: 映像と音声が同時にあることで、場所・時代・雰囲気など複合的な情報を一瞬で伝える
- 五感への訴求: 声の調子、服装、背景音、動きなどが記憶や感情を呼び起こす
- 非言語の伝達力: 言葉を超えて、表情や雰囲気をリアルに再現
具体的なメディア
- 映像資料:8mm/16mmフィルム、VHS、β、MiniDV、DVD、MP4ファイル等
- 音声資料:オープンリールテープ、カセット、DAT、MD、録音データ等


これらの視聴覚資料は、“その場の空気や人の動き”までを直接伝えることができる、
極めてリアルな記録媒体です。
文字や写真では伝わりきらない「臨場感」「声」「話し方」など、あらゆる情報が詰まっています。
映像・音声が記録として“特別”である3つの理由
文章で「拍手が起きた」「笑いが広がった」と書くことはできますが、それを“感じる”ことはできません。
視聴覚資料では、声のトーン、間の取り方、観客の反応、雰囲気まで映し出されます。
まさに体験に近い記録です。
例えば、10年前の運動会の映像。
走る子どもの姿だけでなく、声援を送る家族の声、風の音、歓声までが記録されています。
それはただの映像ではなく「体験」を記録した、感情のメディアです。
― ホームビデオの背景に映る、家のインテリアや街並み、通行人の服装 ―
それらは未来にとっての歴史資料です。
ごく自然な日常の記録が、将来の貴重な文化資源になります。
撮影当時は何気ない風景でも、数十年後には「過去の貴重な生活資料」になります。
まさに、“未来の誰かにとっての宝物”が視聴覚資料には詰まっています。
講演やインタビュー、家族の語り。
文章では伝えきれない「熱量」や「抑揚」を本人の声で残すことができるのが、
視聴覚資料の最大の強みです。
映像や音声は、「誰が、何を、どう語ったか」を、本人の声・表情のまま伝えられます。
視聴覚資料は「家庭・地域・組織」の共有財産になる
視聴覚資料が持つ価値は、個人の思い出だけにとどまりません。実は、それぞれの映像や音声には、家庭の歴史、地域社会の変遷、企業や団体の歩みといった、より大きな文脈が含まれています。
たとえば──
- ご家庭のホームビデオに映る「昔の商店街」「当時の流行ファッション」「子どもたちの遊び」
- 自治体が記録した「お祭りや式典」「地域の災害対応」「住民インタビュー」
- 企業・団体による「創立記念イベント」「創業者インタビュー」「講演映像」
これらは、その時代の空気や社会の動き、人々の関係性を語る“記録遺産”でもあります。



うちのホームビデオが“地域の歴史資料”になるって本当!?



本当です!“日常の断片”こそが未来にとって一番貴重なんです
家庭に眠る1本の映像が、地域資料として展示されたり、企業の周年映像として活用されたりする──
そんな事例はすでに全国各地で広がりを見せています。
視聴覚資料は、単に「保存するだけ」でなく、「次世代と共有する」ことで価値を増していく文化資産なのです。
文書資料と何が違うのか?─補完し合う「記録」の役割
項目 | 文書資料 | 視聴覚資料 |
情報の形式 | 文字 | 映像・音 |
客観性 | 記録者の主観が入ることも | 撮影された事実がそのまま記録される |
臨場感 | 伝わりにくい | 空気感や感情がそのまま伝わる |
保存のしやすさ | 管理しやすく保存性が高い | メディアや再生機器の制約が多い |
視聴覚資料には文書にはない情報が詰まっていますが、逆に文書資料のような検索性や長期安定性はありません。
大切なのは、両者を組み合わせて初めて“本当の記録”が成立するということです。
なぜ視聴覚資料がこれまで軽視されてきたのか?
- 場所を取る
- 再生が面倒・難しい
- 何が映っているのか、いちいち確認しないとわからない
- 「音だけでは資料にならない」といった誤解
こうした理由で、多くの映像・音声資料が廃棄・未整理のまま放置されてきました。
しかし近年は、視聴覚資料が持つ「歴史的・文化的価値」が再評価され、
ユネスコの「世界の記憶」にも視聴覚資料が多数含まれるようになっています。
今、視聴覚資料が“急いで”保存されるべき理由
✅ 時間との戦い──再生機器の消失と記録メディアの劣化
❗再生機器の絶滅が進んでいる
ビデオデッキ、8mmフィルム映写機、MDプレイヤーなど多くの機種が生産終了。
「メディアがあっても再生できない」時代に突入しています
❗メディアの劣化は止まらない
VHSテープやカセットは20〜30年で磁気が劣化。
フィルムもカビ、断裂、ビネガーシンドロームなど、物理的劣化が急速に進行
❗自然災害・保管ミスによる破損
湿気、温度差、直射日光に弱く、保管環境次第で劣化スピードが加速します
❗“本人の声”が唯一の証言になることも
家族のホームビデオや講演記録など、亡くなった人の“声”や“動き”が残っている貴重な記録が多数存在します。
今、保存しなければ「記録ごと消える」可能性があります
今こそ始めたい視聴覚資料の保存アクション
✅ 今すぐできる5つの行動
アクション | 内容とポイント |
① 状態の確認 | カビ、カセットの破損、フィルムの変色などを目視チェック |
② 保管場所の見直し | 温度15〜20℃、湿度30〜50%。直射日光・結露を避ける |
③ 安易な再生はNG | 劣化したテープは再生中に破損する危険性あり |
④ 優先順位をつける | 状態が悪い/再生機器が絶滅寸前な素材から順にデジタル化保存へ |
⑤ プロへ相談する | 専門業者なら修復しつつ高品質でデジタル化可能 |
✅ さらにできること
⑥ データ保存のダブルバックアップ
デジタル化後も「保存は一元化しない」ことが大切です。
外付けHDD+クラウド保存など、異なる形式での二重保管を心がけましょう。
火災・故障・誤消去のリスクを分散できます。
⑦ メタデータ(撮影日・内容・関係者)を記録しておく
せっかくデジタル化しても、「これは何の映像だっけ?」となっては意味が半減します。
映像に関する簡単なタイトル・説明・出演者などを記録しておくことで、
後からの検索や活用がぐっとスムーズになります。



何から始めたらいいか分からないよ〜



まずは“1本出してみる”だけでOK! 状態をチェックしてみよう。
あとはプロに相談してみて!
これらの行動は、ご家庭でも今すぐ実践できますし、文化財担当者の初動としても有効です。
視聴覚資料の保存・修復は、専門家の力で未来へつなぐ
視聴覚資料は非常に繊細なメディアです。
単なるデータ変換ではなく、「状態の診断」「物理的な修復」「記録としての保存性の確保」など
多面的な専門知識と技術が求められます。
私たち株式会社東京光音(https://www.koon.co.jp)は、映画フィルム・ビデオテープ・音声テープなどの
視聴覚資料の 修復・デジタル化を専門に行っている企業です。


- フィルムや磁気テープの修復・補修
裂け・カビ・磁気劣化などへの対処を行い、素材自体の延命措置を実施 - 高品質なデジタル化
画質・音質を最大限に保持しつつ、将来の保存・活用に適したフォーマットで変換 - 保存・利活用のコンサルティング
資料の整理、保存計画、アーカイブ化支援などを通じて、継承の仕組みづくりをサポート
資料の保存に関して「何から手を付けて良いかわからない」といった方も多くいらっしゃいます。
まずは1点の映像・音声資料からで構いません。
状態や内容を専門家が確認し、どのような保存・修復が可能かをご提案いたします。
企業、自治体、教育・文化施設などからのご相談も受け付けております。
ご家庭の大切な記録も、地域や組織の財産も、未来につなぐ第一歩は「残したい」という思いから始まります。
📩 詳しくは、企業ホームページをご覧ください



実は、状態が悪くてもプロの手で“救える”ケースはたくさんあるよ!
諦める前に、ぜひ相談してみてね。
まとめ|視聴覚資料を「残す」という文化継承
視聴覚資料は、単なる記録媒体ではありません。見る人の記憶に“体感”として残る、特別な記録形式です。
それは、未来の誰かに向けて“今”を語る証人であり、文化の継承者であり、個人の思い出の保管庫でもあります。
- 家庭のホームビデオ
- 自治体の広報映像
- 企業の式典記録
- 教育の授業ビデオ
- 団体の活動報告映像
これらはすべて、“次の誰か”に引き継がれてこそ、はじめて文化資産となります。
「記録を残すこと」は、未来への贈り物でもあります。
その映像・音声が、50年後の誰かにとって「かけがえのない記憶の鍵」になるかもしれません。
まずは1本、ビデオテープを棚から出してみませんか?
著者:フィルム仕事人
フィルム・ビデオ・テープなどの映像・音声資産に関するお役立ち情報を随時発信しております!
東京光音は、映像・音声メディアのデジタルアーカイブを専門とする企業です。
映像・音声資産のデジタルアーカイブに関するご相談はお気軽にお問い合わせください。
長年の実績と確かな技術で、大切な記録を次世代へとつなぎます。
詳しくは公式サイト(https://www.koon.co.jp/)をご覧ください。
お問い合わせはこちらから
電話番号 03-5354-6510
問い合わせフォーム 【株式会社東京光音】お問い合わせフォーム
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