気づかぬうちに消えていく?―視聴覚資産を守り、活かす方法
「視聴覚資料」と聞いて、あなたはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。
多くの人がまず思い浮かべるのは、家庭用ビデオや記念行事の映像、あるいは映画フィルムなどではないでしょうか。
しかし実際には、企業や自治体にも多くの視聴覚資料=貴重な映像・音声資産が眠っています。
それらは単なる「過去の記録」ではなく、歴史・文化・地域の姿を映した重要な映像アーカイブであり、未来への橋渡しとなる情報資産です。
本記事では、数多くの視聴覚資料の修復・デジタル化作業に携わってきたプロの視点から、企業や自治体に存在する
“知られざる映像アーカイブ”の価値と、失われつつある今だからこそ必要な保存・活用のアクションを解説します。

知られざる視聴覚資料とは?
視聴覚資料とは、映像や音声によって記録された情報資源のことを指します。
代表的な例は以下のようなものが該当します:
- 映画フィルム(8mm、16mm、35mmなど)
- ビデオテープ(VHS、ベータマックス、8ミリビデオ、MiniDV、U-maticなど)
- 音声テープ(オープンリール、カセット、DATなど)
- スライドや写真に連動したナレーション音声

- 企業に眠るお宝
-
- 社史映像(創業記念や工場竣工式)
- 社内イベントや社員旅行の記録
- 製品紹介ビデオやプロモーション映像
- 取引先向け説明ビデオ
- 自治体や公共施設に眠るお宝
-
- 市制○周年記念式典映像
- 祭りや地域イベントの記録
- 広報番組やPRビデオ
- 町並みや自然景観の映像
- 議会や講演会の録音・録画
- 音声資料の例
-
- 講演・インタビュー音源
- 地域ラジオ番組の収録
- 学校や市民団体の音楽演奏記録
これらの資料は往々にして、社内倉庫や資料室、図書館の閉架書庫、あるいは市役所の倉庫や資料室の奥で、
適切な管理もされずに眠っているケースが多く見られます。これらは「ただの古い資料」ではありません。
企業のブランド資産や地域の文化遺産として再活用できる貴重なデータです。

えっ、古い映像や音声って、会社や役所にもそんなに眠ってるの?



はい、思っている以上に多いです。研修ビデオや行事記録は“とりあえず保管”され、そのまま数十年経過しているケースは非常に多いんです。
視聴覚資料が持つ価値とは?
1. 歴史的・文化的価値
過去に記録された映像や音声には、当時の社会や文化、街の風景、人々の暮らしが刻まれています。
これらは歴史的な証言であり、郷土史や地域研究、教育資料としての価値も高まっています。
例えば、昭和50年代の街の様子を記録した映像は、都市計画・交通・福祉政策の変遷を検証する貴重な資料です。
2. 情報資産としての企業価値
企業にとっては、過去の広報映像や社史にまつわる資料は、ブランド価値の強化や企業理念の伝承に欠かせません。
周年事業やリクルート映像、SNSコンテンツとして再編集すれば、社史や理念を次世代社員にも強く印象づけられます。
3. 地域活性・コミュニティ貢献
自治体や地域団体が保有する映像・音声資料は、市民との接点をつくるまちづくり活動にも活用できます。
地域資料館での上映、学校教育での活用、地域イベントでの展示、観光PR動画への再利用など、多様な展開が期待できます。



昔の映像って、正直使い道があんまりなさそう…



むしろ逆です。現代の広報や観光にも大きな力を発揮します。
懐かしさと新鮮さの両方を感じさせる素材はSNSでも高反応です。
しかし、視聴覚資料は静かに消えつつある
残念ながら、こうした貴重な資料は日々劣化しています。
◆ 劣化と消失の危機
物理メディアは必ず劣化します。フィルムや磁気テープは、経年により以下のような劣化を起こします:
- カビの発生
- 酢酸系フィルムのビネガーシンドローム(酢のような臭いとフィルムの収縮)
- 磁気の低下による映像・音声の欠落
- テープの粘着や断裂
さらに深刻なのは再生機の消失です。
再生機器の製造はすでに終了しており、専用の再生機器も年々入手困難になっており、部品在庫も尽きつつあります。2025年前後には多くの機種が修理不能になると指摘される「2025年問題」も指摘されています。



じゃあ再生機がなかったら、もうデジタル化は無理ってこと?



一般的にはそうですが、専門業者は自社で整備済みの機器を持っているので、まだ対応可能です。ただし、年々難しくなってきています。
◆ 環境要因による破損
加えて、災害や温湿度による劣化など、物理的なリスクも無視できません。
高温多湿や急激な温度変化はメディアの大敵。災害や水漏れ、保管場所の移動中に破損するケースも珍しくありません。
今、修復やデジタル化に取り組むことは、これらの資料を「保存不能なモノ」から「未来に活用可能な資産」へと昇華させる行為です。
修復・デジタル化が未来を守るカギ
視聴覚資料を守り、未来につなげるには、物理的なメディアの修復とデジタル化が不可欠です。
なぜ今、視聴覚資料のデジタル化が必要なのか?
⏳ 経年劣化は待ってくれません
視聴覚資料の多くは、磁気テープやフィルムなど、物理的なメディアに記録されています。
これらは「保存しておけば安心」と思われがちですが、実は時間とともに確実に劣化していきます。


📼 磁気テープ(VHS、カセット、DATなど)
磁性体が剥がれたり、粘着性が出てテープ同士がくっついたりする
「スティッキーシェッドシンドローム」に陥ることがあります。


🎞️ 映画フィルム(8mm、16mm、35mmなど)
湿度や温度の影響で退色、カビ、酢酸臭(ビネガーシンドローム)などが発生し、
映像が失われる原因になります。


🎙️ 音声テープ
磁気の減衰や物理的な断裂によって、再生時にノイズが混入したり、
音が飛んだりすることがあります。
📼 📹 再生機器がもうない!
視聴覚資料のもうひとつの大きな問題は、「再生できる機械がない」ということ。
技術の進化とともに、再生機器は市場から姿を消しつつあります。
- VHSデッキはすでに国内生産終了。中古市場でも動作保証のあるものは希少。
- 8mmフィルムや16mm映写機は、修理部品の入手が困難。
- DAT、U-matic、ベータなどの業務用機器は、専門業者でも保守が難しい状況です。



ネットで探せば中古のVHSデッキくらいあるでしょ?
それで見ればいいんじゃない?



確かに中古はありますが、動作保証がないものが多く、テープを傷める危険も。しかも、業務用フォーマットや特殊な規格は、一般流通していません。だからこそ、専門業者によるデジタル化が安全なんです
デジタル化の4つのメリット
- 劣化の進行を止め、素材を長期保存
- 編集や複製が容易になり、多用途に活用可能
- クラウドや外部メディアにバックアップでき、災害リスクを分散
- メタデータ(撮影日時・場所・内容)を付与して検索性を向上
デジタル化は「単なる変換作業」ではありません。再生不能のテープでも、専用のメンテナンスや調整を行えば映像が蘇ることがあります。また、映像の色補正や音声ノイズ除去を行うことで、当時の空気感をより鮮明に残すことができます。映像や音声をアーカイブ資産として活用できる状態に整えることが重要です。
視聴覚資料は「時間との勝負」。劣化と再生機器の消失という二重のリスクにさらされている今こそ、デジタル化によって記録を未来へつなぐチャンスです。
◆ よくある誤解と不安
- 「映像が劣化しているから無理だと思っていた」
-
修復技術により再生可能な場合が多くあります。カビやテープの癒着も専門工程で対応できます。
- 「依頼には専門知識が必要だと思っていた」
-
専門業者が資料の状態を確認し、最適な方法を提案するため、 “現物を預けるだけ”でOK。
依頼者に技術知識は不要です。 - 「個人では依頼できないのでは?」
-
一般家庭向けプランも充実しています。少量のテープでも対応可能です。



1~2本だけ頼むと割高にならない?



基本作業費はかかりますが、複数本との差は大きくありません。
それより早く救出することの方が重要です。
あなたでもできる!視聴覚資料チェックリスト
まずは現状把握から始めましょう。
- 保管場所は直射日光や湿気を避けているか?
- メディアの種類を一覧化(VHS、ベータ、8mm、カセット、フィルム等)
- 表面やケースにカビ・汚れ・異臭はないか?
- 重要度をランク付け(広報価値・歴史的価値・保存状態)
視聴覚資料の見直しステップ
「広報」「記録」「社内資料」などのキーワードで探すと、意外な映像が出てくるかも。
再生機器がない場合は、専門業者に相談を。無理に再生すると破損の恐れも。
保存だけでなく、編集・活用も視野に。
周年記念、地域イベント、社内教育など、使い道は多彩。SNSでの発信も可能!
専門業者に任せると何が違う?
自分でできることもありますが、本格的な保存には専門業者の技術と設備が不可欠です。
- カビ除去や破損補修:再生前に安全な状態に戻す
- 色補正やノイズ除去:画質・音質を向上
- 業務用機材での高画質デジタル化:市販機では再現できない品質
- 大量資料の一括処理:時間短縮と効率化
- 保存フォーマット選定:将来の活用まで見据えた提案


当社のサービス紹介:視聴覚資料の修復・デジタル化ならお任せ!
私たち株式会社東京光音は、
映画フィルム、ビデオテープ、音声テープなど、あらゆる視聴覚資料の修復・デジタル化を行う専門企業です。
・ 映画フィルム、VHS、8mm、DAT、カセットなど幅広く対応
・ カビ除去、色補正、ノイズ除去などの修復技術
・ 高画質・高音質でのデジタル保存
・ 一般家庭の思い出映像から、企業・自治体の歴史的映像まで対応
・ 無料相談・見積もり実施中
・ 全国対応可能
【今すぐ相談】
「まずは資料の棚卸から。無料相談はこちら」
🔗 詳細は公式サイトへ:https://www.koon.co.jp
まとめ|埋もれた記録は、未来への贈りもの
かつて当たり前のように撮影・録音された映像や音声。
その中には、過去の人々の姿、社会の風景、企業や地域の歩みが生きています。
私たちが扱っている資料は、過去の出来事の記録であると同時に、それを受け取る未来の世代への「メッセージ」でもあります。企業が築いてきた文化や、自治体が伝えてきた地域の歴史、家庭で育まれた絆の記録——
それらをデジタル化して残すことで、次の世代に“つながる”価値が生まれます。
今こそ、自分たちの持つ視聴覚資料の価値を見つめ直し、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
著者:フィルム仕事人
フィルム・ビデオ・テープなどの映像・音声資産に関するお役立ち情報を随時発信しております!
東京光音は、映像・音声メディアのデジタルアーカイブを専門とする企業です。
映像・音声資産のデジタルアーカイブに関するご相談はお気軽にお問い合わせください。
長年の実績と確かな技術で、大切な記録を次世代へとつなぎます。
詳しくは公式サイト(https://www.koon.co.jp/)をご覧ください。
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